オープニングテーマ曲 『六年生の思い出』

 

ぼくは鬼首の土に、とうとう足を踏み入れたのだ。

そのしゅんかんの気持ちは、なんともいえない気持ちだった。

鬼首ロッヂはあまりりっぱな建物ではなかったが、どうしても好きだった。

1日目の夜になると、つかれはてたのもわすれ、むちゆうで話をしていた。

その時はうるさくてたまらなかったが、今になってみればとてもたのしくて、心に一つの思い出としてのこっています。

よく日の朝、すがすがしい鬼首の空気をすってこう思いました。

鬼首はみんなの思い出のかたまりの土地だと・・・?

 

―雑巾の匂いが予想以上にきつかったようで、岩のような男はターンを決めつつ気絶した。

おどろんぱのコージさんも真っ青・・・とまではいかねーが。

なんにせよ、もうこんな茶番に付き合ってられねー。

周りをみればスネちゃま牌が散らばったままのドンジャラ・・・

数時間かけて水で溶いただけの片栗粉・・・

ひと夏のアバンチュール・・・

波間に消えた恋・・・

脱ぎ捨てたビーチサンダル・・・

片方だけなくしたイヤリング・・・

ルージュの伝言・・・

『今日は遅くなるから、作り置きのモツ鍋あっためて食べてね。   兄さんより』

 

もうすっかり日も昇っていた。朝ズバは見逃したくない。

「さーてと・・・いい加減帰っか」

俺は適当に金品をかすめて堂々とその場を去ることにした。

 

 

するとどうだろう?

フッと目の前が白い光で包まれ、キラキラとした何かが遠くで舞っている。

「なんだよ・・・?お迎えがくるには早すぎやしねーか?」

不思議と俺はその幻想的な光景に瞳が吸い込まれていった。

眩しくて断片的にしか見えないが、光の破片が無数に弧を描いているようだった。

いつしかそれは一点に集まり、いや、集まったとみせかけ散り散りになってみせ、いやいや、もう一回集まった・・・あ、何だよ消え・・・てねーし。あ〜ああ、何かモタついて集まり損ねてるし・・・ダセー!チューボーん時のジャージ、ダセー!コッペパン机ん中忘れていった、ダセー!通知表隠したら父兄分が郵送で届いてやがった、ダセー!告白の場所・ひと気を避けたら視聴覚室、ダセー!組み体操練習サボり続けてたら運動会当日にピラミッドの一番下、ダセー!日直の仕事・人一倍はりきったのにはりきり過ぎて黒板消し紛失、ダセー!つーか思い出して恥ずかしがってる自分、ダセー!

 

余計なおもひでにひたっている間に、目の前の光景はいつしか結婚記者会見会場に変わっていた。

光の破片はカメラのフラッシュに変わり、白い光は照明だった。

 

記者A「えーでは、婚約指輪を確認させてもらってもいいですかね?」

世の中腐ったニュースばかりだってのにご陽気なこって。一体誰の発表なんだ?

『はい、彼の給料の三ヶ月分なんです。彼ったら中忍になってからの給料をコツコツとこの指輪の為に貯めてくれてたみたいで・・・それと・・・実はもう一つみなさんにご報告が。あの・・・実は新しい家族ができたんです!!』

取材陣「オォ〜!!」

 

なんてことだ・・・オーマイパスタ。

横には俺の腕をしっかり離さない、チャーハンの作れないことでおなじみのあいつがいるではないか。

<つづく>

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