マヨネーズの香りが辺りをつつんでいる。
不快感と同時に柔らかい感触。
「起きたか?ったく、散々マヨネーズかけてくれやがって・・・新しいダヴよりハリが生まれたぜ」
オレはどうやら、こいつが熊ではなくウツボだという事実を確認した直後、急激な興奮を覚え気を失っていたらしい。
「気持ちワリーな・・・どこで枕してんだよ」
「何だよ。マヨまみれにされた上に布までかけられ、なんちゃって葬儀されたのにお前を看病してやったんだぜ。礼の一つぐらいあってもいいんじゃねーか?」
「黙れ!チャーハンはどうした!?」
オレの髪を何気なく三つ編みにしようとしたウツボの手を払いのけ、臨戦態勢に入る。
この構えをしたのはそぅ、ペン習字検定以来だ。
ワケもわからずウツボも構える。コイツ・・・それはユーキャン流だな。
殺気を流石に感じたのか。そのままウツボは困惑しながら問う。
「何なんだよ・・・優しくしたり、叱ったり、穴を掘ったり、穴に埋めたり、パズルの1ピースを隠したり、しらすは成長しないって嘘ついたり、メガネを急に新調したり、プロレスをこっそり観にいったり、剣山で斬新な遊びを考えたり、何も言わずに道路標識を曲げてきたり、自民党支持のくせに民主党に票入れたり、無理矢理元気玉を口から出させたり、牛の出産を手伝わせて感動を与えたり、沢山のちびっこの前でジェネレーションギャップなギャグ披露を強要したり、ビストロのゲストになって勝者にキスしてこいよなんて辛辣な目で言い放ったり…もうたくさんだ!愛は、愛はどこにいったの!?フクハラオオツカイイジマ・・・一番成功しているのは一体誰なんだ!?」
「お前には関係ねぇ!」
「そうさ、関係ないね!フン!だが・・・お前は一つ勘違いをしている」
「ハァ?何で急にドナルドの声真似なんだよ」
さっきまでグズグズもよもよと命乞いしていたくせに、なんと生き生きとした表情をしているのだろうか。
悔しいがこの表情の明るさでどんぶり飯5杯はイケる。
いや、言いすぎた。2杯が関の山だな。
2杯・・・うーん・・・2杯・・・?
これも言いすぎか?でもなー・・・めんどクセーし・・・あーヤベ、爪切るの忘れた。
・・・まぁいい、2杯ってとこで良しとするか。
「オレが・・・いつまでも『あん』を作れないロクデナシ君だとお思いかい・・・?」
「だって作れてねーじゃねーかよ?まだ水で溶いただけだろ」
「ククク・・・スイマセンでしたー!!」
<つづく>
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